このホームページに投稿を始めてから半年が過ぎました。
カオルさんやEdamさんのように、膵臓そのものの悩みから解放された方々が増え、自信を持ってご自身の体験を投稿し合える環境になったことは大変喜ばしいことです。
これまで、「膵臓」と対峙されておられる方々に対して、問題解決のヒントを『「膵負荷状態」の話』という形で述べさせて頂きましたが、これからは個々にご自分の身体に当てはめ、少しずつ感触を掴みながら問題の解消につなげて行くことが出来る段階にこのホームページが到達したと実感しております。
「膵臓の存在意義は何か?」と問われた場合、小生は「母親のように常に身体を守ってくれる有難い存在」と答えます。
真の母親の存在は当然のことですが、お腹の中に“もう一人の母親”が存在することを忘れてはなりません。もう一方の母親も、その個体を必死で守ろうと常に目を光らせ、必要とあらば身を挺して(明らかな膵炎症状を発症させて)“身体の異常(「異状」)”を気付かせようとしてくれている筈です。もし、その個体が問題児の場合(根本的に体力や消化能力が弱く、繊細な心を持つ方々がこれに相当します)、母親は心配のあまり頻繁に顔を出し、諦めることなく愛情を降り注ぎ続けます(愛情の表現方法は様々です)。うるさ過ぎると誤解されるかもしれませんが、これらの行動を無視したり、無謀な行動によって母親を悲しませる結果にしてはいけません。そして、愛情深い母親が穏やかな心境に到達するまで気を緩めることなく丁寧に接し、更に、この“有難い存在”を信じて、一生、応えて行くべきでしょう。そうすれば、自然な形で「膵負荷状態」も克服されて行く筈です。
以前から述べている通り、“母親”は膵臓そのもの以外にも様々な場面に顔を出しています。常に“母親”の存在を忘れなければ、最終的に良い結果がもたらされることを信じ、今の“努力”を続けて行くべきでしょう。
膵臓で悩んでおられる方々の最大の関心事は膵臓癌の問題と思われます。
現時点では、膵臓に明らかな画像上の変化が見られるケース(高危険群)からの癌の拾い上げを様々な手段を用いて実施している訳ですが、膵臓に明らかな変化が及んでいない段階の症例(「慢性膵負荷状態例」と言えるかもしれません)を見つけ出し、この中からの癌の存在の有無を診断することが出来れば、ごく早期・軽症例の検出も可能となるかもしれませんし、場合によっては「膵負荷状態」そのものが解消に向かうことも期待されます。
小回りが利く超音波検査の活用は「慢性膵負荷状態例」の診断にも有用と信じます。
すべての疾患に共通することですが、病気になる前に「異状」に気付き、これに対して的確な対応を施し、病気にまで進展させないこと(病気ではないので診断には困難が付きまといます)も医師の役割の一つと考えます。
「お腹は免疫の70%に関係する」とも言われていますが、「膵負荷状態」は正に“お腹が動き始めている”ことを示唆するサインと思われ、無視してはなりません。
「膵臓医者」として伝えておくべきことは『「膵負荷状態」の話』で十分述べさせて頂いたと自負しております。
これからも更に研鑚を重ね、別の形で“膵臓の有難さ・奥深さ”を伝えて参ります。