「膵負荷状態」の話(その9)

掲示板より

このホームページには、「膵臓が落ち着いている筈なのにまた症状が出る」、「アルコールをやめたのにスッキリしない(だから、アルコールを再開してしまう)」、「消化酵素剤を服用したら却って症状が悪くなった」、「体重が減った」等の訴えが寄せられています。中には血液検査の結果に触れられている方もおられました。また、新たな投稿を寄せられる方たちは40歳前後の方たち(体力・消化能力の低下する年齢に相当します)が中心であることも特徴的です。

膵臓そのものの症状(膵臓のオーバーヒート状態とも言えるでしょうし、以前述べたように“本丸の症状”でもあります)が出たり、糖尿病状態を呈したりするのは、膵臓の働きが弱くなっている証拠ですので回復が遅れるのは当然のことと言えますし、本丸の症状が消失した後も膵臓の問題が完全に解消するまでにはかなりの時間を要するのも事実ですので、常に肝に銘じておくべきでしょう。

もっと早い段階から膵臓のことが認識出来れば、膵臓そのもので悩むことも少なくなる筈ですが、残念ながら、現時点での医師の診断や生活指導は膵臓そのものの異常が生じてから(即ち、膵炎状態に近くなってから)初めてなされますので、「膵臓」の存在に気付くのが遅くなるのは仕方のないことです。
一方、回復期においても同様のことが言え、膵炎を診断する基準を用いて「治癒」と判定する場合、膵臓のオーバーヒートが完全に冷めていない段階でも「問題なし」と言われるかもしれません。事実、このHome Pageに寄せられた方のデータを拝見させて頂いても、膵臓はまだ十分回復していない状況(「膵負荷状態」)にあると推定されました。
このような状況下ではお腹(膵臓)は非常に敏感になっておりますので、薬の服用に対しても直ちに拒否反応を示しますし、適正な食事でなければ消化不良からの体重減少が続くことも想定されます。また、アルコールを断った後に不具合を自覚するのも、本来の弱く敏感なお腹に戻った証拠とも考えられ、それを素直に受け止め、出来るだけ薬等に頼らず、自分で実行可能な努力を続けて行くべきと考えます。
体力が低下する状況ではその方の根本的な体力(消化能力)が大きく関わって来ます。特に小児期の既往歴や体格・食習慣等はその方の根本を知る手掛かりになりますので、今の病状との関連付けを確認しておくことも大切と言えるでしょう。
残念ながら、軽い膵臓の異常(「膵負荷状態」)に対して客観的な評価を下すのは、膵臓のことをよく理解していないと無理があります(膵炎の経験だけでは不十分と考えます)。
膵臓の働きで最も重要なことは、健康を守るための監視役であることです。膵臓(お腹)とは一生の付き合いが必要ですから、決しておろそかには出来ません(ですから、母親のような“有難い存在”と認識すべきです)。
膵炎が回復に向かっても不具合が続いているのは、膵臓への理解不足が原因と考えます。今起こっている膵炎症状を乗り切るだけでなく、将来の健康維持につながる努力(「膵負荷状態」を克服し、「ご自分の膵臓」を十分理解する努力)を個々に実践していくべきでしょう。
膵炎の回復には食事は非常に重要な要素ですが、「何を食べたら良いか」ではなく、「膵臓の安静を保ちつつ、如何に適正な食事を見つけていくか」が大切です。そして、膵臓の安静が守られないために起こる不具合(あるいは明らかな病気)と一つ一つ真摯に向き合っていくことが重要ですし、この努力が将来に良い結果をもたらす筈です。

膵臓のことを知れば知るほど、その魅力は増すばかりです。今は悩みの中心にある膵臓でしょうが、将来の強い味方に変貌させて行くのはあなたの努力次第と言えるでしょう。

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