小生がこのHome Page で述べている「膵負荷状態」診断の原点は、超音波検査(体外走査による)ですので、その着眼点を少しでも理解して頂こうと、5月の超音波医学会総会のシンポジウム(テーマは『臨界点を伝える超音波のサイン』)で「膵負荷状態の超音波診断」という発表をして参りました。
同じ超音波診断でも次元(視点)が異なるのは最初から承知の上での発表でしたが、伝えるべき小生の“視点”は伝えられたものと自負しております。
様々な場面で「膵臓」(お腹)は動いており、このことを意識して超音波検査を実施して頂ければ、将来的に「膵負荷状態」が普遍的な解釈につながると考えます。
予想されていた通り、ノアさんも比較的安定した状況になっておられるようですが、食事制限後(あるいは食べられない状況が長く続いた後は)、膵臓は以前にも増して過敏になり、僅かなお腹の刺激が様々な症状を発生したり、体重が減少したりで、「膵臓が悪くなってしまっているのではないか」等の不安感が増す結果にもなります。これは、“弱くなっている膵臓を認識しやすくするため”に当然起こりうる一時的な現象(通過点)であり、この段階を上手に乗り越えることが出来れば、“真の安定期”に到達出来る筈です。
この敏感かつ不安定な段階で、十分なお腹の安静を図り(食事内容が適正な内容か否かの個々の判断が大切です)、生活ぶりを改め、精神的にも落ち着いた状態に持っていくことが“将来”につながります。
治療の基本は、現在の消化能力を上回らぬ食事内容を常に守り(場合によっては膵消化酵素剤も併用し)、出来る限り無理のない程度に身体を動かし(消化能力を高めることに貢献します)、「必ず良くなる」と自分に言い聞かせ(一時的な体重の変動等には目をつぶり)、弱く・敏感になっている膵臓(お腹)の安静を最優先にするため、暫くの期間(個人差があります)、身体や心に十分な余裕を持たせ続けることです(周囲の方々の理解と協力が必要になります)。
症状が強い場合は点滴治療も含め膵炎治療薬を一時的に使用することはありますが(非常に敏感な時期は食事や水分摂取は勿論のこと、経口剤の服用そのものも膵臓の刺激につながることを忘れてはいけません。膵腫大による痛み対策には鎮痛剤の“坐薬”が有効でしょう)、漫然と使用することは十分なお腹の安静が図れなくなる可能性があり、回復が遅れる等の逆効果も生じます(アルコールや精神科からの薬等の服用も敏感になっているお腹を忘れさせる原因になります)。敏感さは身体を健康に導くための“非常有難いサイン”と言えますので、敏感な身体・お腹のままの状態で、「サイン」を出さないように努めることがポイントと言えるでしょう。
回復までの時間は個々のお腹(膵臓)の強さに関係します(根本的な膵臓の強さ・弱さを把握しておくことも重要で、余分な不安を感じずに済むかもしれません)。
「体温」は膵臓の安静度と並行することが多く、“病状把握”に有用と考えます。痛みだけを膵臓の回復の指標とするのではなく、様々な“視点”から判断を下すべきでしょう。血液データなどの膵炎の指標からの判断は「膵負荷状態」脱却の指標とはなりません。
皆様の個々の“努力”に期待いたします。