「膵負荷状態」の話(その11)

掲示板より

時間に余裕が出来ましたので、久し振りに投稿させて頂きます。
先般、高校生の方が投稿されておられましたが、この方も膵臓からの症状と思われます。
ご本人にとってみれば、「膵臓」という言葉の響きは緊張感につながるかもしれませんが、今から膵臓(お腹)を意識し、上手に付き合っておけば、将来、体力が落ちたり・強いストレスが加わったりした時等に生じやすくなる様々な不具合や病気(精神的なことも含めて)を凌ぐ力につながって行く筈ですし、老化(身体の衰え)の速度にも影響を与えることになります(若々しい身体が長い時間保たれる筈です)。
膵臓は小児の時代から身体を監視し続けています。しかし、「膵炎」という形での訴えは非常に稀ですので、気付かないままある程度の年齢を迎えてしまうことが一般的でしょう。膵臓の弱い体質の方は小さい頃から無意識に膵臓を守る生活を続けておられますので、尚更「膵炎」とは結びつきません。しかし、根本的に体力がなく・お腹も弱い方々は形を変えて膵臓からの注意信号が発せられています。そして、如何に早期にかつ正確にこの“サイン”を受け止めて行くかがその方の将来に大きな影響を与えますし、早めの対応が出来なかった場合には、様々な病気を経験したり・貧弱な身体のままであったりすることも十分想定されます。
以前、大学病院で、カップラーメンを食べたことがきっかけで明らかな急性膵炎症状を発症した中学生男児のケースを経験したことがあります。その時は「こんなことで膵炎になるんだ」という印象だけでしたが、その後、30歳代で膵石除去術を受けることになったこの方に対して的確な助言が出来なかったことが今でも悔やまれます。
膵臓への負担が様々な症状に関係する理由は、「早めに“適正な生活・食事・心”に戻し、その個体の健康を保つ為のきっかけ作り」にあります。一時的な症状だけを安易に考え一喜一憂すべきではありませんし、根本的なご自分の体質を良く理解し、膵臓(お腹)からの訴えを解消させることに努めること・同じ過ちを繰り返さないことが重要と言えます。
膵臓が母親のように例えられるのは、小さい頃からその個体の体質を良く理解している存在だからです。これに背くことがあると“大目玉”が待っていますし、いい加減に薬だけで済まそうとしても、すぐに見抜かれてしまいます。特に、弱い身体・お腹を持っておられる方は“厳しい母親”が常に身近にいて、“ダメ出し”を繰り返します。そして、これを乗り越えなければ、人生の幸せは保証されません。
小生の下を訪れる患者さんの共通点は、根本的な体力・消化能力の理解がなされていなかったり、身体が弱っていることを実感していない点にあります。そして、逆にこれらを理解することが出来れば、再びバランス良い状態に戻すことは十分可能な筈です。
自覚症状がないにも拘らず血中の膵消化酵素値高値が長期間続いていたケースでは、飲食内容を変更することで明らかな改善が示されましたし(しかし、まだ“免許皆伝”ではありません)、ご家族の理解が得られぬまま左上腹部痛に悩んでいた女性も、現在は頭痛だけが残るのみになり、むくみや痛みから解放されつつありますし、“原因不明”の肝障害のケースでも膵臓が関係するらしいことを初めて指摘されて、心のわだかまりが軽減されたようでした。
このホームページに投稿されておられる方たちの多くは、“ちょっとした違い”に悩んでおられる印象があります。明らかな膵炎症状や血液データ値の異常は、「まだまだ」と膵臓が訴えている証です。今の病状を深刻に捉えるべきではありませんが、膵臓(お腹)と真面目に向き合うことが大切であり、そのことが与えられた命を守ることにつながって行く筈です。

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