新聞紙面等を賑わしている様々な情報の中から気になる話題を拾い上げ、「膵臓医者」的な解説を加えてみました。
有名人編
“有名人”であるが故、膵臓を傷めやすいとも言えますが、中には膵臓と上手に付き合っている方も多い筈です。
膵臓に苦しんでいる方々が健康を回復する為のヒントとして、有名人に見る膵臓との上手な(上手でない)付き合い方を挙げておきましょう。
安部首相の夏休み
批判を浴びながらも、小泉元首相と同様、長期の夏休みを取られました。二人の共通点は現役首相時代の夏に体調を崩したことです。気温の上昇が体力・消化能力を低下させ、不具合につながりやすくなるというのは膵臓の弱い方に良く見られる現象です。安部首相の父上は膵癌で亡くなられておられます。また、安部現首相が潰瘍性大腸炎と診断される前は“原因不明の腹痛”(「機能性ディスペプシア」とも言われています)に悩まされておられたようですが、「膵臓医者」的には「膵負荷状態」と考えられます。苦い経験を踏み台にし、超多忙の中、「膵臓」と仲良くする姿勢は大いに見習うべきでしょう。
藤圭子さん
ひたすら頑張って来た“過去の栄光”を否定?し、寂しく去って行った美しい“日本人”女性でした。
物心がついた頃から積み重ねて来た努力が若くして実を結び、更にそれを維持して行くことは体力(消化能力)の弱そうに見える彼女にとっては非常にきつかったのでしょう。もう少し周囲の理解が得られ、自分なりのペースが守られていれば、少しは違った人生を送ることが出来たような気がしてなりません。全く残念です。
「漫才師」の方たち
人との違いをアピールしながら面白いことを言い続け、”一定レベル”を維持するストレスにさらされる中では膵炎になったとしても無理からぬことです。子供時代から備わっている身体を守る為の個性的な「敏感さ」・「繊細さ」を膵炎発症には向けず、才能を磨く方向に振り向けられれば、いずれ“結果”が出ると思います。膵臓の弱い方たちは競争社会の過激さは似合いません。ご自分の感性を信じ、マイペースを貫くことです。
疾患編
「膵臓」は様々な疾患との関連が考えられます。
熱中症
「こまめな水分補給」が曲解されていると感じています。
熱中症はインフルエンザ脳症と発症年齢や季節性の違いはあっても、「サイトカイン(炎症に伴って発生する介在物質)の嵐」という共通性があります。体力(消化能力)が落ちている状況下では、低下している免疫力に追い打ちをかけるような大量の水分等の補給がお腹(膵臓)への過剰刺激となり、炎症を更に悪化させ致命傷につながると考えられます。超音波で診ると、のどの渇きが強い状況下でも腸管内には大量の水が残っており(このような時は腹部膨満も強くなっています)、水分補給は口を湿らす程度に留め、お腹を十分休めておけば腸管内の水が再吸収され、のどの渇きを癒す水として活用される筈です。弱っているお腹(膵臓)を十分意識しながらの水分・栄養補給が大切です。
発達障害
消化能力も弱く、成長に影響を与えやすい様々な要素を持っていると考えられます。
「発達障害」という言葉はある意味では的確な表現と言えるかもしれません。しかし、皆と同じ行動をとりにくいことが“異状”と捉えられがちですが、「異常」ではありません。“違い”が明らかになりやすい集団生活の中で、周囲が優しく見守り、コンプレックスを感じることなく弱点が克服され、人間嫌いにならず、「特長的な個性」(自信につなげる為の大切なアイテムでもあります)を更に伸ばすことが出来るよう、皆で支え合っていくべき対象です。
うつ病
繊細・敏感さを常に持ち合わせている点で敏感なお腹(膵臓)を持つ方に共通すると言えます。
豊かな感性を持つが為集団の中での“自己”に苦しみ、その後、薬に頼り過ぎて“自分らしさ”を失いかけている方が多いように見受けられます。身体やお腹が目一杯になると脳にも余裕がなくなり、心の病に苦しむことになります。しかし、繊細・敏感な部分は身体を守る大事な宝物ですので、これをぼかしたままにしておくのは短期間だけにとどめ、身体やお腹のパワー回復に懸命に取り組めば心に自信と余裕が生まれ、やがて、風が吹いても倒れない柳のような“たおやかさ”と“粘り強さ”が戻って来る筈です。バランスの悪い時発生する様々な不具合(注意信号)は、回復に向けての「有難い症状」(「うるさい母親」のような)と認識し、これに素直に従い、自分を信じて改善のための努力を続けるべきでしょう。
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