「膵負荷状態」の話(その3)

掲示板より

膵臓は弱い悲しいカナリアではありません。
一時的に辛い状況が続くかもしれませんが、今の辛抱が必ず将来につながって行く筈です。
「膵負荷」の原因や増悪因子・根本的な体質・今の体力(消化能力)等を良く理解・把握し、将来に備えた的確な対応を採れば、少しずつ開けて来る筈です。また、将来に向けた対処法が身につき、“密やかな自信”を実感することが出来れば、膵臓の回復力も高まります。
一般的に、弱い身体を持っておられる方は健康を保つ為の安全域が狭く、これを外すと大きな病気にもなりやすい傾向にありますが、弱い身体であっても安全域を外さない対応を採り続けることが出来れば(すぐに不具合や病気につながりやすい方ですが、これらの“注意信号”を素早く解消に導くことが出来れば、深刻な状況には陥りません)、将来、体力のある方と同等(あるいは、それ以上)の健康がもたらされる筈です。
日野原重明先生・俳優の高倉健・生涯現役で活躍した女優の森光子等の各氏は、死をも覚悟する病と称されていた結核を克服された方たちです。常にご自分の身体のことを良く理解しておくことが、人生の様々な場面を上手に乗り越える為に重要と言えるでしょう。

残念ながら、「膵負荷状態」を客観的に捉えるのにはまだ無理があります。
「膵負荷状態」では膵酵素の変動が確認出来ますが、いずれの指標も“正常範囲内の変動”ですし、超音波像の変化も「膵炎の診断基準」には当てはまらぬ軽微なものです。
このような状況ですから、取り敢えず“自己防衛”が重要になりますが、「膵臓」に興味を持たれる先生が近くにおられるのであれば、膵臓を意識した治療による自覚症状や画像・検査値の変化を捉える等の地道な積み重ねが「膵臓」の理解につながると信じます。
「膵負荷状態」を疑う症状には様々なものがあります。体温の変化・頭痛や眩暈・口腔や気道の症状・腹満・便通異常・皮膚症状・四肢のむくみや腫れ等あらゆる部分に症状が及びます。逆流性食道炎やアレルギー症状等も食べ過ぎを反映しているかもしれません。
このような異状が見られた場合、取り敢えずお腹の安静を図り、常に消化能力の限界を超えぬことを心掛け、場合によっては消化剤や膵炎治療薬を服用して変化を見ても良いでしょう(処方に際しては医師の理解と協力が必要になります)。但し、膵炎治療薬は食べ過ぎにつながりやすくしますので、漫然と使うべきはでないと考えますし、お腹を鈍感にさせるアルコールや精神安定剤的な薬等の使用は極力避け、狭い安全域を少しでも拡げる為に適度な運動を心掛け、穏やかな精神状態を保つ努力(周囲の方々の理解も大切です)も怠らぬことが大切と言えます。
膵臓から発せられる症状(非常に有難いサインですので、おろそかにしてはいけません)は様々ですが、「お腹を休めること」を常に意識すれば、それらの症状は少しずつ解消されていく筈です。そして、それに伴う形で検査成績や画像所見が変化して行くならば、「膵負荷状態」が改善された可能性も否定出来ません。
皆様と共に地道な取り組みが必要と考えます。

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